復興灯台が照らし出す、いわて三陸の物語。人、風景、モノ、コト…。動き出しているいわて三陸の姿を灯台守たちが丹念に紡いでいく。

2013年5月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

被災地は映画館ではない。

NHKの特集ドラマ「ラジオ」、ご覧になりましたか。

 

これは宮城県女川町にある「女川さいがいFM」から生まれたドラマです。

主人公はこのラジオ局でDJをしている女子高校生。彼女の小さな“声”が、周りの人たちを動かし、そして彼女自身も変わっていく。彼女を取り巻く中でとりわけ重要な役割を担っていたのは、女川出身で現在は東京で薬剤師をしている飛松(リリー・フランキー)です。故郷の現状を知る手段として、このラジオに耳を傾けているのですが、女子高生とメールで交流するうちに徐々に彼も変わっていく。

飛松を演じるリリー・フランキーさんが本当に素晴らしい。感情をぐっと抑えた演技が、逆に一つ一つの言葉を際立たせていました。

例えば、被災地のガレキ受け入れを反対する人たちに飛松が分け入って説明するシーン。それは今の日本人の心の変化に対する抗議にも見えました。

 

「少し前までは『上を向いて歩こう』を歌いながら、泣いてくれたじゃないですか。絆とか、日本はひとつとかって、叫んでくれた。それ、本当ありがたかったです。でも、あれですか。被災地は映画館なんですかね。感情移入はするけど、(瓦礫を受け入れて)関わり合いになるのはイヤなんですかね」

 

放射能汚染。岩手、宮城、福島。これら被災した県に来ることを怖いと思っている人も多分いるでしょう。そして、岩手県内にも、被災地に足を運んでいない人もいるでしょう。これらの人たちに対してどうこうという気持ちは毛頭ない。それでも、ひとつになっていた心を、もう一度ひとつになる可能性は捨てたくないのです。

被災地は映画館ではない。何もなくなった公園みたいなものだ。そこには多くの人がいてほしいし、新しいモノを作るために協力してほしい。そして何よりも笑顔に満ちていてほしい。これは望み過ぎなのだろうか。